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農・人・くらし

NPO法人 農と人とくらし研究センター コラム

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田の草取り

 このところ、田の草取りに追われています。田植え直後には、水を見に田んぼを回っていたのですが、苗が落ち着いて、水回りも落ち着いてきたので、しばらく行かずにいて、数日前に畦草を刈ろうと、田んぼに行ってびっくりです。田植え後に、規定通りの除草剤をまいたというのに、びっしりと草が生えていました。
 畦草刈りもそこそこに、田の草取り開始です。家の裏にある3枚の田んぼは、どれもこれも草だらけ。義母に言わせると「隣の田んぼから、種が流れてきたに違いない」。確かに、この田んぼは、昭和30年代に耕地整理をしただけの、今や、歴史的遺物の感がある田んぼです。用水と排水が分けられていなくて、田んぼのそばにある溝には、隣や上の田んぼから水が流れ出て、それを次の下の田んぼに引き入れるのです。でも、見渡せば、隣の田んぼも上の田んぼもそれほど草がひどくない。そこから流れ出たものとすれば、その田んぼも草が多いのではないか。
 次に考えられるのは、除草剤散布後の水管理が悪かったこと。夫はこの季節になると、スイートコーン栽培に魂を奪われています。田植えが終われば、後のことは上の空で、暇を作ってひたすらスイートコーン畑に日参します。「田んぼの水見といて」「ああ・・・」てな具合で、全く当てにできないので、仕方なく私が見て回るのですが、どのくらい入れていいものやら、抜いていいものやら、俄か農婦の悲しいところです。おまけに水口も、水尻も、石を置いたり、泥で固めたりする原始的な方法。その加減がむつかしく、まさに「いい加減」だったようです。
natsu4.jpg 仕方なく、田の草取りを始めました。小さい草なら田んぼの中へ押し込めばいいのですが、もはや大きくなってきている「いも葉(こなぎ)」や「ホタルイ」など、とても押し込めるものではありません。プラスチックの「レジかご」を株の間に滑らして、その中にとった草を入れ、一杯になったら、畦に捨て置きに行きます。その重いこと。
 腰は痛いし、手は疲れるし、レジかごは重いし…。1回に2時間ぐらいが限度。朝少し、夕方少し。その合間にいろいろな用事で出かけることもあって、約20a、4枚の田んぼに1週間もかかりました。
 始めの頃は、何の因果でこの私がこんなことを…と、恨みタラタラでしたが、そのうち、取り終ったあとの奇麗な株間が誇らしく、また、目の前にある草だけをとっていく、何も考えなくてもいい仕事。なかなかいい時間だなあと思うようになりました。
 この春に、仲間と作り上げた「ていねいな暮らしがあった頃・伊深の百姓仕事」という昭和30年代の伊深の暮らしをまとめた冊子。この時代はみな、このようにして、来る日も来る日も田の草取りが夏の仕事であったという。そのことを聞き取り、書き記したのでしたが、実際に自分で「田の草取り」を体験して、この仕事が初めて、自分のものになった気がします。
 草取りを終えて一段落したら、もう、田んぼには次の草「ヒエ」が目立ち始めました。これからは「ヒエ切り」が「ていねいな百姓仕事」になります。

福田美津枝
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