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農・人・くらし

NPO法人 農と人とくらし研究センター コラム

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バラ園か藪か

 我が家の裏に5反ばかりの土地があります。酪農をしていた時は牧草地でした。酪農を廃業した直後は「野菜を生産して出荷して、それで生計をたてよう」などと思っていましたが、実際には、そんな体力も気力も技術も持ち合わせておらず、5反の土地は文字通りの原野と化しています。
 ここはもともとが竹藪だった土地なので、耕作しないと、あっという間に藪に戻って行きます。切っても切っても、草と竹がどんどん茂ってきて、気力が萎えまして「見ないことにしよう」と2年ほど放置していました。(その結果、どういう状態になっているかは、とても言葉では言えません)
 うちの次女はこころの病で仕事も辞めて自宅療養3年目です。その次女が最近、ガーデニングなどを少々やり始めまして、特にバラに熱中しています。家の表の花壇は限られたスペースしかないので、余り多くのバラを植えられません。そこで目をつけたのが、藪と化しつつある裏の土地です。道路に近い一角を「開墾」し始めました。
 次女はトラクターも草刈機も使えません。クワも使ったことがありません。貝堀りの熊手をもうちょっと頑丈にしたような道具で、地面にへばりついて、こつこつと開墾しています。竹・クズ・ヤブガラシなどの密生していた所を私が草刈機で切りました。その後をこつこつ掘って、根を掘り出しています。冬がバラの植え替えにいい時期だから、それまでに何度か出た芽を掘り出し、また出た芽を掘り出しするのだと張り切っています。
 ここがたくさんのバラが咲き乱れる花園になるまで、彼女の気持ちが折れずにいてくれれば、家でごろごろしているより、ずっと健康的でいいのですが…。
 「ここがバラ園になっても、人に見えないから、竹や草を切ってよ」とせっつかれて、私も草刈機を背負う日が増えています。
 さてさて、ここがバラの花園になるか、竹藪が我が家の軒先まで迫り来るか、数年後のお楽しみというところです。
 ところで、娘がコツコツ開墾しているのを近所のおいちゃん・おばちゃんたちが見て「おねえちゃん、がんばりよるねぇ。バラがいっぱい咲くのを楽しみにしとるよ」と言ってくれるのはいいのだけれど、その後に続けて「でも、気をつけりよ。この場所はあんた方がここを買ってブルで押した時に、マムシの巣があって、バケツいっぱいのマムシが捕れたんやけぇ」と誰も彼もが「忠告」して下さるので、娘はかなりびびっています。
 40年近く前のことなのに、みんなよく覚えているんですねぇ。

渡辺ひろ子(元・酪農家)
『私信 づれづれ草』NO.36(2011.7.4発行)より転載
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