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農・人・くらし

NPO法人 農と人とくらし研究センター コラム

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宮沢賢治の童話,『グスコーブドリの伝記』

 「ブスコーブドリの伝記」は,あのイーハトーブの火山局技師,ブドリの短い生涯を語った童話である。腕の良い木こりの息子として生まれ,天候異変や火山の噴火など自然環境の厳しさとそこで暮らしを営む人びとの暮らしをよくしようと努力していくストーリーになっている。
 ブドリが最も影響を受けるクーボー博士は,宮沢賢治その人のように見えてくるのは,私一人ではないだろう。科学知識を熟知し,それを人びとに教えながら,地域に役立つ技術をつくりだし,若い人々を育ててゆく。
 私は賢治の作品をすべて読んだわけではない。でもこの童話の舞台となるイーハトーブそのものを描いたのは,この作品だけではないだろうか? イーハトーブは岩手県そのものをさす,と言われている。賢治が農業学校の講師として活躍した花巻は,イーハトーブの里として地域おこしに使われているので,多くの人は,こうした宣伝を通じてイーハトーブを知り,賢治の世界に入っていく契機にもなっているのだろう。イーハトーブは,賢治が理想郷として描く地域で鏡の国アリスの世界と同様なもの,創造された世界であることを語っている。
 この伝記を読んでいてオリザを耕作した人が「山師」として扱われている。オリザとは稲のことで稲作をしてそれで儲けようとしている農民をリアルに描いているが,こうした位置づけは,賢治がどのように農耕を考えていたのか,手掛かりになり,実に興味深い童話になっている。どちらかというと難解な『農民芸術概論』を読む上での導入口としての『グスコーブドリの伝記』をお勧めする。
 なお,アニメの情報は以下のサイトで。
 http://wwws.warnerbros.co.jp/budori/

富田祥之亮
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