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農・人・くらし

NPO法人 農と人とくらし研究センター コラム

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ア"ーーーーッ

 もう2週間くらい経つのに、まだ忘れることが出来ずにいます。心が痛み続けています。
 酪農ヘルパーでT牧場に行くために、朝4時過ぎに車で出かけました。まだ薄暗く、すこしモヤもかかっている中、私の軽トラのすぐ後ろに大型トラックが迫っていました。いやでもスピードを出さざるを得ない状況です。
 と、ライトが照らす道路上を必死に駆けているウサギが一瞬見えたのです。ブレーキを踏むと後続のトラックに追突される危険性が極めて高く、「あ、無理!」と思う間もないくらいの瞬間に左タイヤの下にゴトッと小さな衝撃が…。「ア"ーーーーーッ」とおおきな声が出てしまいました。「ごめん」と何度も声に出し、胸をコブシで叩いたりしたけれど、あのウサギの後姿が忘れられません。もし、私の車のタイヤが少しずれていて、轢かずに通過していても、たぶん、後続の大型トラックにペシャンコにされていただろうと思うけど、だから「仕方のなかったこと」と思うけど、でも、私が轢いたという事実は消せません。
 運転歴39年、小さな事故も何度か経験しました。でも、生き物を轢いたのはヘビやカエルくらいで、よく轢かれている猫やタヌキも私は轢いたことがなかったので、今回のウサギは思った以上にこたえました。まだ、あのゴトッという衝撃が生々しく残っています。
 これが、「ひと」だったら、と思うと運転が怖いです。
 あの日以来、あの道路は通りません。

渡辺ひろ子(元・酪農家)
『私信 づれづれ草』NO.44(2012.7.28発行)より転載

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