農・人・くらし
NPO法人 農と人とくらし研究センター コラム
農本主義のこと② 農本思想研究会の開催通知
- 2008/02/10 (Sun)
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農本思想研究会は、昨(2007)年6月10日に名古屋で初めて全国から7人ほどが顔を合わせて発足した。きっかけは、その道の大御所たる近畿大学の綱沢満昭さんから岩崎さんへ届けられた一枚の年賀状。結成を強く促す内容で、理由は最近よく農本思想の現代的意義を問われるからだという。それを受けて岩崎さんが中心となり、心当たりの同好の研究者に呼びかけて実現した。来る2008年2月23日に東京で第二回の会合がもたれるが、私にとってこの研究会は、母がいそいそと地元の短歌のサークルへ通うような、そんな気安い気持ちで参加できる小さいけれど大切な集まりである。
浅輪さんからの思いがけない問いかけもあり、10年も前にいただいていた岩崎正弥著『農本思想の社会史 生活と国体の交錯』(京都大学学術出版会、1997年)をこのたびはじめて読み通した。
この本を著者からいただいたとき、私は遠くフィリピンのボホール島に暮らし始めており、農村生活改善に関する国際協力の仕事に没頭していた。かの地では農業は生活の基盤そのもので、「農本主義」のように農業をことさら尊ぶこともなく、また「卑農思想」のように貶めることもない世界に身を置いていた。それよりもなによりも、日本の8月が年間通して続くような気候の中で、思想的なものへの関心自体を失っていた。
日本に帰って調査研究者の生活に戻ったが、時間を売る勤め人の身であり、外から課された問題をかかえ、期限に迫られて報告書を作成する仕事に明け暮れてきた。私は大学で学問とは自問自答であると教わった。だから、考えるとは、内なる問いに対して惜しげもなく時間を湯水のように使うものだという思いがあり、「政治は現在に賭けるが、教育は未来に賭ける。学問は永遠に賭ける」ものだ、という竹内好の言葉を心に念じてきた。だから逆に、仕事に差し障りのでるような、内なる問いかけを迫る本は無意識にでも遠ざけざるをえなかったのかもしれない。本当は怠惰以外の何物でもないが、敢えて言い訳をすればそういうことになる。
いま読み終えて、私には岩崎さんの本を批評する資格がない、とあらためて思う。
片倉和人(農と人とくらし研究センター代表)
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