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農・人・くらし

NPO法人 農と人とくらし研究センター コラム

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言いつづけるには元気がいる(前編)

milk.jpg 同じ畜産の仲間から、元気をもらうために、万難を排してここに来ているのだ、と女性たちの多くが口にした。その言葉から、家族や地域のなかで、彼女たちが置かれているであろう、容易でない立場が伝わってくる。忙しい夫や家族をなんとか説得し、同じ苦労を語り合える仲間を求め、あるいは地域の仲間の声を届けるために、この会合に参加しているのである。加えて、畜産経営をとりまく環境は、輸入飼料の高騰やFTA(自由貿易協定)による輸入畜産品の拡大予測もあり、ますます厳しくなるばかりである。
 「全国畜産縦断いきいきネットワーク」という畜種を超えて畜産にたずさわる女性たちの集まりが、2007年7月4日、東京の虎ノ門パストラルを会場に開かれた。4年ほど前に畜産女性起業の調査をしたことがあり、そのときインタビューさせていただいた見知った顔も幾人かみえる。3回目を迎える今年の大会に、全国から集まった畜産経営をいとなむ女性たちは55人で、残りの半数は事務局の社団法人中央畜産会や農水省・畜産団体関係の方々であった。
 5つの分科会の一つに私も加えてもらった。「山羊を飼いたいと思っている」と一言いったら、「うちにいるから、あげるよ」と幾人もから声がかかった。子猫でもくれるように、こともなげにいう。さすがは畜産女性たちの集まりだと感心した。
 その分科会で「牛乳に相談」というTVコマーシャルが話題になった。生産者の目からみると、あれでは何を言っているかわからない、という。どうやら牛乳の消費拡大のために、酪農生産者の全国組織が広告会社に作らせたものらしい。それは都会の若年層を狙ったものだから仕方ない一面もあるが、そこに生産者の思いはかけらも含まれていない。
 牛乳で育ったという若い参加者は、自分は酪農家であると同時に、消費者の一人として畜産について語りたいといい、肉用牛生産にたずさわる女性は、レストランもやっていて、消費者と結びついていることが大切だと感じているという。議論は、消費者の多くが農畜産物の生産の実態を知らなかったり、関心をもっていなかったりすることが問題で、どうしたらその状況を変えられるのだろうか、という方向に絞られていった。

片倉和人(農と人とくらし研究センター代表)
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