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農・人・くらし

NPO法人 農と人とくらし研究センター コラム

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村の暮らしと女性たち(1)-バングラディシュの村から(その3)

 バングラデシュの女性にとって、男性の保護者がいない、という状態は、生活の不安定を意味する。実家に戻ってくるということは、父母が健在なときにはまだ良いが、兄弟以降の代になると、それぞれが結婚し、子どももできて、という状態で、どのような扱いをされるか、不安要素が大きい。娘らは、土地などの相続権を実質的にもたないし(法的には男きょうだいの半分の土地を相続する権利はあるが、それを放棄することによって、生家と良い関係を取り結んでおく)、自分で稼ぐ手立ても少ない。誰かに頼らずには暮らしていけないのである。そんなナズマに、嫁ぎ先で暴力をふるわれているタラが、「まだ私は良いよね。帰る家(婚家のこと)があるんだから」とつぶやく。
 長い人生の中、紆余曲折はあっただろうが、"良いカミさんだった"、と夫にしみじみと語られる人生。その一方で、婚家で暴力を受けたり、夫を失い安定した場所を持たない人生。どれも村の女の人生である。いずれにしろ、夫やその家族次第、というところに不安定の要素があるのは否めない。そう考えると、村の伝統や文化を尊重したいとは思いつつも、女性が女性として独り立ちできる選択肢があることの重要性を感じるのである。

 近年は、結婚婚資金(娘の結婚時に婿側に渡される金品のこと)に関する問題も大きくなってきている。これには、市場経済の浸透も影響している。結婚婚資金と村の暮らしについては、また別の機会で考えたい。

吉野馨子(農と人とくらし研究センター研究員)
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