農・人・くらし
NPO法人 農と人とくらし研究センター コラム
近況を知らせる手紙(下)
もう1つの草は、田んぼの畦草。田植え前とその後、そして2週間前にと、もう3回刈りました。30aの5枚の田んぼの畦は、刈り払い機で刈りだせばそう大変ではないけれど、少し刈り遅れると、刈り払い機に巻きついて、歯の回転が止まってしまうので、しょっちゅう巻きついた草を取り除かなければなりません。
畦の斜面は刈ることはなかなかつらい。畦の上からと下からと2段構えで草を刈るのですが、刈り払い機を大きく振り上げ、振り下げ、そのために足に力を入れて踏ん張らなければならない。山の中の1つの田んぼは、畦ののり面が大きく、3段構えで刈らなければならない。それも急斜面であるから足場も十分でない。ここでずり落ちて、しかも回転している歯の上に落ちることにでもなったら…。まったく命がけです。母が隣の田んぼの畦の刈り跡と比べて、いつも「(隣の田んぼの)嫁さんは上手に刈らっせる」と言うのですが、刈り払い機を使ったことのない母には、この命がけを分かってもらえないのです。
そして、刈って散らばった草を寄せたり、溝に落ちた葉を引き上げたりして、3~4日後には、枯れた草を燃やさなければならない。これも大変。風のない夕方、熊手で枯れ草をかき集め、ライターで火を付ける。さっと火がついて燃えてくれればいいけど、生乾きだったりするとなかなか火がつかない(雨が多い今時分は、表面は枯れていても、内側はまだ枯れ切っていないところが多い)。ブスブスくすぶる火に手こずり、やっと出てきた煙に燻られ…。でも、この草が燃えるにおいは、郷愁をくすぐられ、嫌いではなく、夏の夕方、日が沈み、夕飯のために家に急ぐ若いころの切ない心持が甦ります。
ところで、このような思いをして畦草刈りをしているというのに、わが夫は、やれ刈り手が確保できたとばかりに、手を出さなくなったのですよ。夫は、こちらが痺れを切らすまで、なかなか刈ろうとはしないので、たまりかねて私が刈るのをしめたと思っているのです。畦が草ぼうぼうなのは許せないという私の美意識が、この草刈り戦の敗因となっているのです。
3つ目の草は、屋敷周りの草。母は自分の畑の手入れや草引きに往生しているので、いつの間にか、屋敷周りの草引きは私の仕事になりました。(屋敷と言っても大きなお屋敷ではなく、この辺りでは家の周辺のことを、どんなに小さなあばら家でも屋敷周りというのですが、誤解のないように)これもあっという間に生えてきて、洗濯物を干したりとり込んだりした時に気がついて引き出すと、あっちもこっちもと目につき、始末に負えません。裏庭は、あまり日が当らずに、生えてくる草もヒョロヒョロで引きやすいですが、表の庭は良く日が当り、人に踏まれるところなど、葉は地面に広がり、しっかり根をおろしているので、草引き鎌で掘り起こさなければなりません。でも、除草剤をまかれてはならないと、これから盆前には心して取り除くべく、覚悟をしています(あまり草がひどいと、母は除草剤をかけるのです。もっとも最近は噴霧器を背負う元気がなくなったのですが、夫や隣人に頼むこともあるので、油断できない)。
以上この3つが草との闘いであると思っていたら、もう1つ手ごわい相手が現れました。田の草です。田植え直後に除草剤を振るのですが、今年は除草剤散布後の水管理が悪くて、家の裏の田んぼ2枚にひどくたくさんの草が出現しました。そうなると義母が黙っていません。「田の草をとれ」「そのままでいい、減収しても大したことない」(嫁の私ではなく、息である夫との応酬です)すったもんだの挙句、とうとう田の草取りをする羽目になりました。"泣く子と地頭ならぬ(姑)には勝てぬ"です。こちらが泣きたい!
草との闘い、まだ始まったばかり。あと2カ月は、本格戦になる模様。草刈り鎌を振り上げる右腕・右肩がいつまで持つかが心配です。
ところで、お隣の富加町で梨園を始めた人がいます。今年はオーナー制を売り出したところ、50人のオーナーができて、8月中ごろの日曜日に収穫祭をされます。その梨園の奥さんはJAの元生活指導員さんで、娘さんは、3月まで一緒に仕事をしていた普及員さんです。そういう縁があって、収穫祭には、梨カレーをオーナーさんに振る舞う手伝いをすることになりました。というか、こういうことをして楽しんだらいかが?と持ちかけたら、乗ってこられたのですけど。梨カレーは、昨年「現代農業」誌で見て、やってみたら結構よかったので、いつかどこかでやってみようと思っていたのです。
○子さんのところがもっと近かったら、作って持って行ってあげたい。今が一番忙しく、食事の準備もままならないとか。今採れ始めたブラジル野菜は、煮込む料理に適しているようなので、たくさん作って届けてあげたい。だけど私も今は暇がなく、一刻でも多く畑に出て、草引きをせねばならない身の上なので、食事を届けて上げられないのですが、いつか、何か送ることができるかもしれません。
体もあまり酷使しないように、ひざや首の痛みが再発しないように、十分心がけてください。くれぐれも無理しないように、食べるものも食べて。ではまた。岐阜へ行くことがあったら寄ります。ありがとう! 7月3日書く
『ひぐらし記』No.22 2009.7.20 福田美津枝・発行 より転載
PR
ブログ内検索
最新記事
(07/30)
(07/08)
(06/20)
(06/06)
(05/28)
(04/16)
(02/25)
(01/18)
(12/30)
(12/14)
(11/10)
(10/27)
(10/16)
(10/07)
(10/01)
(09/22)
(09/11)
(07/12)
(06/25)
(06/04)
(05/27)
(05/14)
(04/24)
(04/16)
(03/31)