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農・人・くらし

NPO法人 農と人とくらし研究センター コラム

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若きセールスマンの芋ほり

horu.gif 息子と友人M君のさつま芋畑は、8月の日照りにも、生い茂る草にも負けず順調に育ちました。9月に入った頃から、息子に「もう少しずつ芋を掘って、食べ始めてもいいよ」と言ってきましたが、M君は「今掘ったらもったいない、大きくなってから掘る」といって、なかなか掘りません。子供たちをつれてきて芋掘り大会をやりたいなどとの計画もあったようでした。
 いよいよ芋ほりを始めました。10月中ごろの月曜日と、翌週の月曜日の2日で、2人で掘りあげました。1株に大きな芋が2つくらいついていたが、あとは小さな芋ばかりと、期待はずれの量にがっかりして、その大きな芋も何かにかじられた跡があるといってがっかり。「おばさん、物を作るって難しいね、もっとええもんができると思った」とか、「フクちゃん、来年はもっとようけ(たくさん)できるように研究しなあかん、肥料が足りんのやないか、途中で肥料をやったほうがええんやないか、研究せい」とか、昼ご飯を食べながら話します。

 (この日の昼ごはんは、掘り取った芋を使って、さつま芋のフルコースを作りました。さつま芋ご飯にさつま芋と蕪の葉の味噌汁、大学芋、さつま芋と蕪の葉入りオムレツ。息子は、「何や、また芋ばっかりか」とうんざりしていましたが、Mくんは、「おばさん、すごい!さつま芋ばっかでこんなご馳走ができるんや!」と喜んでくれました。お愛想半分としても、作り甲斐、食べさせ甲斐のある、好ましいM君)

 「M君、芋ほり大会やらへんの?」と聞くと、「おばさん、やりたかったんやけど、よう考えたら僕、月曜が休みやで、そんな日に来てくれる子供おらへん」。確かに、彼は営業マンなので、土・日は稼ぎ時なのでした。
 掘った芋は「おばさんとこの畑で作った芋やで、おばさんとこで食べて」と、大半を置いていきました。見ると、確かに大きな芋もかなりありましたが、小さな小さな、小指ほどの芋まで、丁寧に掘り取ってきていました。良さそうな芋は友人・知人に分けたり、その頃、地元の正眼短期大学ボランティア活動で、ブラジル人学校の子供たちにそば打ちとおやつ作りをすることになっていたので、鬼まん(さつま芋の入った蒸し菓子)を作ることにして、そのさつま芋を使いました。
 それでもまだたくさん残っているので、どこかで売って、せめて苗代だけでも戻してあげようかとも思いましたが、彼らは「ゴルフやゲームやること思えば、そんな金、大したことない」などというので、では、その働きが無駄にならないよう、おいしく食べることにしました。小さな小さなさつま芋は、丁寧に洗って、さつま芋ご飯や芋粥、豚汁などに使いました。そのほかに大学芋や、バター煮にして食卓に出し、あとは、凍みないようにさや糠(籾殻)を入れた紙袋に入れて、納屋の暖かいところにおきました。
 不肖の息子は、M君に引きずられての芋作りでしたが、M君は、期待ほどの成果が得られなかった芋作りにもめげず、来年もやる気です。「畑がまだ余まっとるで、春先にじゃが芋でも植えたら?」と誘うと、「ほんと、おばさん、春も使わせてもらってもええの?フクちゃん、そしたら今度はじゃが芋作りや」と張り切りだしました。うちの空き畑でM君が畑仕事を愉しみ、百姓嫌いな息子に畑仕事をさせてくれればと、オジサンとオバサンは期待しながら応援しています。

『ひぐらし記』No.18 2007.11.20 福田美津枝・発行 より転載
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