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農・人・くらし

NPO法人 農と人とくらし研究センター コラム

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内戦の地にも人々の暮らしがある(上)

 PARCスリランカ報告会に岡谷から駆けつけた。2007年10月5日、東京広尾のJICA地球ひろばにおいて、「スリランカ内戦の現状と今後の展望」と「ジャフナ漁村の人々の暮らしとプロジェクト報告」と題する講演があった。報告者は、アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表の中村尚司さんと井上礼子さん。PARCは、少数民族タミル人の住むジャフナ半島で、漁村の人々の自立と持続的な発展を支援する民際協力を行っている。最近ジャフナを訪れた帰国報告だったが、2007年4月29日深夜、スリランカのコロンボに滞在していた中村さんは、LTTE(タミル・イーラム開放のトラ)空軍機によるコロンボ空襲をホテルの部屋から目撃したという。
 井上さんの報告によれば、1980年代から続く内戦で、ジャフナ半島では、多数民族シンハラ人の政府軍による攻撃を受け、タミル人の漁民たちは家を失い難民となった。そうした難民たちが、2002年の停戦合意後、海岸に家を建てて生活の再建を始めていて、PARCは2004年5月にジャフナに事務所を設置して、彼らの生活支援に着手した。
enjo.jpg まず、乾燥魚加工を始めるべく、2004年12月インドネシアに乾燥魚技術研修に行く。その直後12月24日、スマトラ沖地震の津波が襲い、難民の家は跡形もなく流される。PARCは津波緊急援助で住宅の再建を支援、一日も早い漁の再開と従来の生活への復帰をめざす漁民に対して、地引網のための網と船を提供、被災した女性たちには乾燥魚加工の支援を開始する。しかし、2006年8月内戦が再燃、ジャフナは陸の孤島と化し、軍は漁民たちに漁も海岸に近づくことも禁止する。食糧にもことかく漁民に、PARCは紅茶、砂糖、スパイス、粉ミルク、さかな缶詰などを送る緊急食糧救援を行い、さらに漁に出られない彼らのために養鶏のプロジェクトを開始する。
 平和時の生活改善の取り組みしか知らない私には、PARCのプロジェクトの困難さは、ちょっと想像を越えていた。講演後の意見交換で、「平和構築を待っていられない。紛争地域でも、生活支援の取り組みを、できることはやる」と、スリランカと関わりの深い参加者のひとりが発言していた。内戦地域にも生活があり、そこには生活改善を必要とする人がいる。戦争状態だから、支援活動をしなくていい、という訳にはいかない。そういう趣旨の発言だった。
 もっと詳しい話を聞きたいと思ったが、近々岡谷でJICA研修の受け入れを控えていて、準備の心配があったので、交流会には参加しないでその日は報告と意見交換だけ聞いて帰った。

片倉和人
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農と人とくらし研究センター

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