農・人・くらし
NPO法人 農と人とくらし研究センター コラム
学ぶことの楽しさ…古文書研究会
退職した昨年は、県下5ヵ所であるこの講習会に3ヵ所出席して学びましたが、それでも難しく、腹立ち紛れに「初心者にわかりやすく教えてください、初心者向け講習会がこんなに難しくてはついていけません」とアンケートに書いて出してきました。
5ヶ月ほどたった2月初め、この協会から電話がありました。「昨夏の講習会の時のアンケートで、難しかったという声を何人かから聞いたが、もしよかったら、毎月2回行っている研究会に参加して、古文書を読み解く気はありませんか、第2と4火曜日の午前と午後の2回に分けて研究会を開いています。参加されるようなら午前か午後かを決めてお電話ください。これはアンケートに難しかったと書いてあった人で、住所や電話番号、名前を書いてあった人に呼びかけています」という丁寧なお誘いの電話でした。
これはありがたいと思い、頭のすっきりしている午前に決め、電話でお願いして、参加することにしました。
研究会は30人くらいのメンバーでした。岐阜市にある未来会館の小さな階段教室が会場でした。先生が1人おられ、テキストを用意されて、それを先生と一緒に読み解いていくものです。先生が読んでいきながら、白板にマーカーで読み方を書いていきます。時々、会員から違う読み方が出されると、皆で議論し合い、結論を出していきます。最初はまったく読めずに、ひたすら先生の読み方を聞き、板書を写すだけでしたが、このごろはどうにか自分でも読み進むことができ、先生の読み方や板書で確認するというように進歩してきました。
板書を写すといっても、階段教室の前の方からもう席が決まっていて、いくら早く会場についても、前の席をとることができません(別に決めてある訳ではないのですが、決まっているので)。新参者は一番後ろの席なので、マーカーの古びたものを使われると薄くて、板書もわからないことがありましたが、お世話役の方が清書したものを次回にプリントして配布されるので、それで復習することができます。
メンバーは男性7に女性3という割合で、ずいぶんお年の方ばかりです。電話を貰って、私と同時に参加した人が他に2人ありました。その3人は最初に参加した時に自己紹介をさせられました。私は「食文化に興味があり、そういう古文書を自分で読み、その時代の食べ物をことを知りたい」と申し上げたところ、何回か後の研究会のテキストに「片野家年内勝手方諸事取斗覚」という古文書が用意され、「食文化を研究される方があるので、この古文書を用意しました」と説明されました。恐縮しつつも嬉しく、しかし他の皆さんが満足されるかと思うと不安にもなりました。
研究会は2時間で、前半に一つのテキスト、途中10分休憩して、後半に別のテキストと、毎回2つのテキストが平行して読み解かれていきます。
「片野家」の古文書は、岐阜県最南端、木曽三川の流れるところ、海津郡輪之内町というところ、文字通り輪中の地帯で、代々大庄屋勤めていました。記録は元治元年(1864)に書かれています。名のごとく、正月から始まって、晦日まで、勝手方の行事の1つ1つを克明に記録してあります。正月には何をどのように食べ、召使には何を遣わすか、年賀には何時行くか、何を携えるかなどです。
案に相違して、皆さん楽しそうに読み解き、子供の頃のお話や、年寄りから聞いた話なども出て、そういうことも私には興味深いものです。そういうお話を聞いていると、今お見かけしたところでは町に住み、学校の先生らしき方、どこかの奥様らしき方なども、草深い田舎で、野山を走り回り、麦の多い飯を食べ、ドンド焼を楽しんだガキ坊主だったことが伺えます。
古文書といっても、年代は幅広く、文書も武士の手になるものから、庄屋や商家、学者のもの、楷書やくずし字など、様々で、間口が広く、奥が深いと思うことしきりです。その文字を見ていると書いた人の書き癖のようなものがわかり、内容と照らし合わせ、どのような思いで書いたのかと想像する楽しみがあります。7月8月は古文書読解講習会のため、この研究会も夏休みになりましたが、9月の再開が待たれます。もちろん、読解講習会にも今年も3ヵ所出席する予定です。学ぶことが嬉しい時です。
『ひぐらし記』No.15 2007.7.15 福田美津枝・発行 より転載
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