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農・人・くらし

NPO法人 農と人とくらし研究センター コラム

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臓器移植

 臓器移植法が改正され、本人の意志とは関係なく、家族の同意で脳死臓器提供が出来るようになり、立て続けに移植が実施されました。これって、どうなんだろう、と考え込んでしまいます。医学の進歩で、人はなかなか死ななくなり、「脳死」なんて状態で、法律で「これは死です」と判定してもらう。それ自体、何だかイヤ。その上、その体から臓器を取り出して他の人に移植するなんて、う~ん、どうなんだろう。
 私は宗教者ではないけれど、「私のいのち」って何だろう、とか、生きることと死ぬことの距離とか、考えてしまいます。人間はどんどん死ななくなって、でもそれが幸せとイコールではない日常があって、一方には無意味に殺されるいのちがあって…。
 臓器移植そのものに異議を唱えることはおおっぴらには出来ない時代になってしまいました。「移植で救える命があるのに」「自分の子どもだったら、どうなんだよ」と言われると黙り込むしかありません。
 科学は人類にたくさんの幸せをもたらしたと同時にたくさんの不幸せも強いてきました。「進歩・発展」がすべて「善」だと信じないこと、立ち止まって「本当にいいことなのか?」と自問する時間をたっぷり持つことが、何事にも必要だと思うのですが…。
 死ぬのも難しい時代です。

渡辺ひろ子(元・酪農家)
『私信 づれづれ草』NO.28(2010.8.31発行)より転載
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