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農・人・くらし

NPO法人 農と人とくらし研究センター コラム

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ブルガリアの酪農

 ブルガリアといえばヨーグルトしか思いつかないくらい、酪農の国というイメージです。そのブルガリアの酪農が壊滅の危機に瀕しているといいます。EU(ヨーロッパ連合)問題です。
 EU加盟を果たしたブルガリア。当然、農産物にもEU基準が課せられます。酪農の国ブルガリアは酪農の歴史が長いだけに、中小規模の古い酪農家が多く、乳牛の飼養方法も設備も旧式なのだそうです。
 しかし、EUの基準は厳しく、それをクリアするのは、ほとんどの農家には無理だというのです。EU基準を満たすために設備投資をしなくてはならない。補助金を受けるには「完全放牧」が条件であり、舎飼いでやってきた多くの農家は対象外となる。自己資金を用意出来る農家はとても少ない。
 というようなことなのです。
 食べるものの品質や生産方法の基準を厳しくするのは当然であるのだけれど、厳しくし過ぎて、結果として生産者を苦しめ、廃業に追い込んで行くと、単に仕事だけでなく、地域やそこで暮らす人々の文化までも壊してしまうことにならないかと思うのです。
 大きな企業が潤沢な資金で大規模に生産する農産物が市場を席巻する社会がいいか、小さな農家が穀物も野菜も畜産も小規模に生産し、農家同士が助け合いながら、地域の行事や環境保全も農業生産の一環として、「日常」としてやって行くというのがいいか、選択の余地はもうないのでしょうか。
 これは、ブルガリアの問題というより、「農業」と「産業」との関係の問題として、きわめて世界的であり、かつ我がムラ的でもあります。

渡辺ひろ子(元・酪農家)『私信 づれづれ草』NO.19(2009.9.25発行)より転載
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