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農・人・くらし

NPO法人 農と人とくらし研究センター コラム

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内戦の地にも人々の暮らしがある(中)

 JICA(国際協力機構)の研修生を初めて岡谷の農と人とくらし研究センターに迎えて「構想づくりワークショップ」と銘打った3日間の研修を行った(2007年10月18日~20日)。(社)農山漁村女性・生活活動支援協会がJICAから委託を受けて実施する「農村女性能力向上」コースの研修生で、生活改善アプローチを日本で学んで帰国後に自国で取り組むことを目標としている。今年は、カメルーン、チャド、ニジェール、タンザニア、イエメン、アフガニスタン、インド、スリランカ、フィジー、メキシコの10カ国から11人(女性9人、男性2人)が参加していた。
tree.gif 農村開発にたずさわる研修生たちに考えてもらいたかったのは、将来についてのビジョンをもつことの大切さである。その日暮らしの貧しい人たちは、お金や仕事がないだけでなく、将来になんら夢や希望をもっていない場合が多い。そういう人たちに対して、お金や仕事を与える援助ではなく、将来について自分のビジョンをもつことを手助けするような支援ができないか、その方法を伝えたいと思った。
 「参加型農村調査から構想づくりへ」をテーマにしたワークショップのプログラムを用意した。1日目の午後は皆で地元の地区を歩いて生活環境点検を行い、宝(良い点)とチャレンジ(問題点)を探し、参加者自らデータを収集する。二つの班に分かれて、2日目はそれを地図に落し込み、課題と「モッタイナイ」資源をリストアップする。その上でこの地区の将来の構想図(ビジョン)を1枚の大きな紙に描く。3日目は、課題の解決もしくはビジョンの実現をはかるプロセスを考える。班ごとに1つのテーマを決め、女性グループを育成して課題にとりくむという筋書きの寸劇を作って演じる。
 プログラムは順調に進み、研修生は笑顔で岡谷を後にした。思い通りに実施できたのは、多くの方の助けを借りてのことだった。環境点検の案内役をお願いした区長の山之内寛さん、ボランティアで参加いただいた諏訪農業改良普及センターの林邦子さん、岐阜県から馳せ参じてくださった福田美津枝さん、それに休みをとって手伝ってくれた姉と妻、3日間を通じて世話をやいてくれた父母、JICA研修コーディネーターの栗田理恵さん、農山漁村女性・生活活動支援協会の担当者兼講師の富澤ひとみさんと古田由美子さん、こうした方々が一つのチームとなって、ファシリテーター(進行役)の私を支えてくれた。
 ワークショップの最後は、短くてもふりかえりの時間をとって、参加者全員に感想を述べてもらうことにしている。岡谷での3日間をふりかえり、「将来に対して明るいイメージをもつことが大切だとわかった」と研修生のひとりが感想を述べた。そう語ったのは、最年少の20代男性、アフガニスタンからの研修生のバリさんだった。ビジョンを持つことの大切さを伝えたいと思ったが、ビジョンの中身は人それぞれで、内容まで特に深く考えていなかった。「明るい」という形容詞が、私の心に小さな棘のように引っかかった。

片倉和人
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農と人とくらし研究センター

Research Institute for
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