農・人・くらし
NPO法人 農と人とくらし研究センター コラム
バングラデシュ 村の植物誌
バングラデシュの村で、屋敷地の植物を調べ始めてから20年が過ぎた。このコラムで、村の人たちがともに暮らしてきた屋敷地の植物を少しずつ紹介しながら、村の暮らしも紹介していきたいと思う。初回は、私たちにも身近になってきたマンゴから。
マンゴは、バングラデシュでは、アムと呼ばれている。マンゴは、村人が最も好む果樹の一つである。マンゴは、小さいうちは、かなりの日陰でも耐えることができる。屋敷地の裏手のジョンゴル(雑木林と藪を合わせたようなところ)の薄暗い林床に、まるで雑草のようにマンゴがたくさん生えているのを良く見かけた。村の人は、マンゴを食べた後、種をジョンゴルなどにぽいっと放って、少し土をかぶせる。マンゴは、食べた後すぐに(乾燥しないうちに)、土の上に置かないと発芽できない。マンゴの特性をよく生かした、育て方である。
藪の下草のようにマンゴの幼樹は大きくなり、見どころがあるな、と選ばれたものだけが(?)、明るい場所に新しく植え替えられる栄誉を勝ち得ることになる。マンゴの木は、大変大きくなる。こんもりと四方に広がり、がっしりとした感じで、とても美しい眺めである。

マンゴの木 遠景
だいたい、5~7年くらいすると花がつくようになる。マンゴの花は、けっこう地味で、ちょっとネズミモチに似たような感じがある。その花が、村では乾季の終わりごろ、マグ月(2月ごろ)に開き、次第に大きくなる。

マンゴの花

青いマンゴ
収穫したまだ青い実をぶら下げて見せてくれる少年、うしろに見えるのは、サリーを重ねて刺し子をしたふとん(カタ)である。
マンゴが大きくなる時期は、とても楽しみな時期である。カジシムラ村のジュマは、その時期、自分の部屋で寝ていると、トタン屋根にマンゴの実があたる音が聞こえて、とても嬉しい気持ちになる、と話してくれた。緑の実が徐々に赤く色づいてくるが、緑のまま熟すものもある。バングラデシュでは、取り木などの栄養繁殖はほとんどせず、実生繁殖なので、マンゴの実の大きさや味は、木によって違う。うちのが一番おいしいのが成る、いや、うちのだ、とそれぞれが自慢したりしている。
ボイシャク月、ジョイスト月(いずれもバングラデシュの暦、5、6月ごろに当たる)に実が熟してくるが、チャムリア村の小さい子らは、まだ青いうちから、食べたい、食べたいと母親にせがみ、熟する頃には、ほとんど実は終わってしまっている。マンゴ好きの私は、胸の中で(もう少し待ったらもっと美味しいのに・・・)とぼやくのだが、子どもらにはかなわない。実には虫がつきやすいため、あまり売られることはなく、その分、村人たちが楽しめる果物となっている。
マンゴの利用法は、実にさまざまである。「妻は夫にマンゴとピタ(米粉で作ったお菓子)を食べさせないといけない」と言うならわしからは、村の暮らしにとってのマンゴの重要性がうかがわれる。
マンゴ(学名はMangifera indica L.)
マンゴは、バングラデシュでは、アムと呼ばれている。マンゴは、村人が最も好む果樹の一つである。マンゴは、小さいうちは、かなりの日陰でも耐えることができる。屋敷地の裏手のジョンゴル(雑木林と藪を合わせたようなところ)の薄暗い林床に、まるで雑草のようにマンゴがたくさん生えているのを良く見かけた。村の人は、マンゴを食べた後、種をジョンゴルなどにぽいっと放って、少し土をかぶせる。マンゴは、食べた後すぐに(乾燥しないうちに)、土の上に置かないと発芽できない。マンゴの特性をよく生かした、育て方である。
藪の下草のようにマンゴの幼樹は大きくなり、見どころがあるな、と選ばれたものだけが(?)、明るい場所に新しく植え替えられる栄誉を勝ち得ることになる。マンゴの木は、大変大きくなる。こんもりと四方に広がり、がっしりとした感じで、とても美しい眺めである。
マンゴの木 遠景
だいたい、5~7年くらいすると花がつくようになる。マンゴの花は、けっこう地味で、ちょっとネズミモチに似たような感じがある。その花が、村では乾季の終わりごろ、マグ月(2月ごろ)に開き、次第に大きくなる。
マンゴの花
青いマンゴ
収穫したまだ青い実をぶら下げて見せてくれる少年、うしろに見えるのは、サリーを重ねて刺し子をしたふとん(カタ)である。
マンゴが大きくなる時期は、とても楽しみな時期である。カジシムラ村のジュマは、その時期、自分の部屋で寝ていると、トタン屋根にマンゴの実があたる音が聞こえて、とても嬉しい気持ちになる、と話してくれた。緑の実が徐々に赤く色づいてくるが、緑のまま熟すものもある。バングラデシュでは、取り木などの栄養繁殖はほとんどせず、実生繁殖なので、マンゴの実の大きさや味は、木によって違う。うちのが一番おいしいのが成る、いや、うちのだ、とそれぞれが自慢したりしている。
ボイシャク月、ジョイスト月(いずれもバングラデシュの暦、5、6月ごろに当たる)に実が熟してくるが、チャムリア村の小さい子らは、まだ青いうちから、食べたい、食べたいと母親にせがみ、熟する頃には、ほとんど実は終わってしまっている。マンゴ好きの私は、胸の中で(もう少し待ったらもっと美味しいのに・・・)とぼやくのだが、子どもらにはかなわない。実には虫がつきやすいため、あまり売られることはなく、その分、村人たちが楽しめる果物となっている。
マンゴの利用法は、実にさまざまである。「妻は夫にマンゴとピタ(米粉で作ったお菓子)を食べさせないといけない」と言うならわしからは、村の暮らしにとってのマンゴの重要性がうかがわれる。
マンゴ(学名はMangifera indica L.)
吉野馨子
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