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農・人・くらし

NPO法人 農と人とくらし研究センター コラム

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鳥日記(2012.11)

 去年は渡り鳥がとても少なくて寂しい冬でしたが、今年は多いです。いつもより早くジョウビタキがやって来て、シロハラ、ツグミもたくさん来て、とてもにぎやかです。渡り鳥ではないけれど、ヒョドリやカワラヒワやメジロ、エナガなども群れで家の近くを飛び回るので、もう、うれしくて声に聞き入ってしまいます。
 近所に大きな楠の木があって、たくさんの鳥が集まってきます。先日、朝の犬の散歩の時、その木に向かって一羽の鳥が猛スピードで行くのを見ました。あっ、ハヤブサだ!楠の木から何十羽もの小鳥たちがワッと四方に散りました。その中の一羽(たぶんツグミ)がハヤブサに追われて山へ逃げたけど、おそらく捕まっただろうと思います。ハヤブサだって生きていくための狩りだから、仕方ないことなのだけど、長い旅を生き抜いてやっとたどり着いて何日もしないでハヤブサに食われてしまうツグミの身の上が哀れで「見たくないものを見てしまった」感でどんよりしちゃいました。

渡辺ひろ子(元・酪農家)
『私信 づれづれ草』NO.46(2012.11.30発行)より転載
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バラ園の今

dure2_46bara.jpg 秋バラの時期です。ぼちぼち咲いています。
 春の満開時期が終わった後にも、次々咲いて、夏の間も我が家のバラ園はみごとに華やかでした。でも、これはよくないことだったようです。夏についた蓄は咲く前に切ってしまうべきで、なおかつ8月下旬頃に全体の高さの2/3くらいで切りそろえる作業が必要で、そうすると秋バラが春と同じくらいワンサカと咲くのだそうです。夏に咲かせ過ぎた我が家のバラたちは夏バテで花数がとても少なく寂しいです。でも、夏にせっかくの蓄を摘み取るってのも何だか切ないし…。
 というわけで、花の数は少ないけれど、秋のバラたちは同じ木なのに春の花より、色が濃くてとても綺麗です。
 十二月に入ったら、ばっさり剪定して葉を落とし、根元に堆肥を入れてモミガラをたっぷり被せて冬支度をしてやります。春の満開のバラたちを想像しながら。
渡辺ひろ子(元・酪農家)
『私信 づれづれ草』NO.46(2012.11.30発行)より転載
 

やよいさん

 熊本県の酪農女性のリーダーの一人に山口やよいさんという人がいます。2ヶ月くらい前に「通信でやよいさんのことを紹介させて」と電話で話したまま、私がぐずぐずとパソコンに近づくのを先延ばししているうちに、熊本も豪雨が襲いました。山口さんの牧場に大きな被害が生じていなければ、と思いつつ、やっとこの文章を書いています。
 山口さんは、牛乳の消費拡大運動を、より実践的に進めるために「スローライフミルクネット」というNPOを立ち上げて活動されています。活動の一番の柱は「低温殺菌牛乳を使って、家庭で簡単に作れるモッツァレラチーズ」の普及です。
 私もまだ実物を知らないのですが、「温めた牛乳に酢を加えてできた白い繊維状の固形物(カード)を」90度の熱湯の中で餅のように丸くまとめる」と書かれていて、普通に酪農家が昔から自宅で作っていた牛乳豆腐とはかなり違うもののようです。
 山口さんたちNPOのメンバーはこのチーズを家庭で作ってもらいたいと、いろいろ出かけて講習会を開いたりしているそうです。
 実はこのNPOの会報やら活動を紹介した新聞やらと共に、大きな肉の塊りを送って頂いたのですが、その肉はジャージー種の肉で、私は初めて食べるものでした。ジャージー種の牛乳は濃厚で、だからホルスタイン種中心の酪農家でも我が家の周辺にも脂肪率アップのために1~2頭ジャージーを飼って一緒に搾っている家は多くあります。乳を搾るためには当然、子を産ませるのですが、メスが出来たら育ててまた搾ればいいけれど、オスが出来たら肥育農家(肉牛を育てる農家)に売らなくてはなりません。ところがジャージーは体格がとても小さいので肉牛としては効率が悪いので、2ヶ月くらいミルクを飲ませてから売っても一律1000円なのだそうです。ちなみに、交雑種と呼ばれるホルのメスに和牛の精液を交配して産まれたオス子牛だと10万円以上で売れます。
 で、山口さんの牧場ではジャージーのオス子牛を売らないで育てて、ジャージー肉として直売所などで販売しているそうです。
 その山口牧場は今年の冬、いろいろ牛のトラブルが重なって、かつてないほどに収入が激減したとかで、「お金がないから、牛肉ばかり食べてますよ」と言って大笑いしていました。(自家産のジャージー肉のこと)

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 今年はアメリカが大干ばつでとうもろこしや大豆の8割が枯れてしまったとか。すでに牛の飼料の値上がりが始まりつつあるようです。酪農業はいまやアメリカのとうもろこし・大豆・大麦なしでは成り立たない仕組みになっていて、これからまた苦難が深まることになるでしょう。
 うちの近所で、今月また一戸、大規模酪農家が倒産しました。酪農家の減少は決して後継者不足なんかじゃなくて、借金が返せる限度をはるかに越えてしまっての「倒産」が主な理由です。政府が進める「大規模化」は大規模借金化であり、大規模倒産につながるものでしかありません。

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 山口さんたちの「スローライフミルクネット」の名が示すゆったりした昔の暮らしを若い世代の中に新しい風として送り込めたら、農業ももう少し違う道を拓けるかもしれないなぁ、などと思いながら、頂いたジャージー肉の残り半分で牛肉ごろごろカレーを煮込んでいます。

渡辺ひろ子(元・酪農家)
『私信 づれづれ草』NO.44(2012.7.28発行)より転載

鳥日記 (2012.8)

dure2_45kijibato.jpg 特に明記することなし。夏に入ってからどこを見てもサギばかり。シラサギ。アマサギ、アオサギ、ゴイサギ。サギばかり。
 私の行動範囲が極端に狭まっているせいもあるのですが、とにかく、サギ、ハト、カラス。つまらない日々です。
 ああ、早く秋になって、鳥たちが渡って来てほしい!

 この写真は我が家の窓から写したものです。キジバトのラブダンス? 家にじと~ッといても、たまにはこういうオモシロポーズを見るチャンスもあるんだけどね。
渡辺ひろ子(元・酪農家)
『私信 づれづれ草』NO.45(2012.8.31発行)より転載

九州のクマ絶滅宣言

dure2_45basil.jpg 母の初盆に鳥取のいとこが来てくれました。雑談の中で、最近、イノシシやシカが増えて人家の側まで平気で出てくる、と話したら、鳥取ではクマもよく出る、と言うのです。そういえば、私がまだ4~5才の頃だったと思うのですが、クマが猟師に撃たれて、天秤棒のような木に手足をつるされて山から担がれて町の大きい道路を通って運ばれるのを見に走った記憶があります。
 そうだねえ、九州はクマがいないから、安心だよねえ。クマはヤバイよねえ。
 そういう話をして半月ほどしたら、九州のクマ絶滅宣言が出されました。昔は九州にもクマが住んでいたんですねえ。クマは怖いけど、でも「絶滅」と聞くと何だか心痛む気がします。
 (酪農家も今や絶滅危惧種です。)
 
渡辺ひろ子(元・酪農家)
『私信 づれづれ草』NO.45(2012.8.31発行)より転載

『ペコロスの母に会いに行く』

『ペコロスの母に会いに行く』
岡野雄一 作・画
西日本新聞社
定価 1200円十税
 
 詩人・伊藤比呂美さん推薦のマンガです。
 62才の作者が89才の認知症の母親のことを描いたマンガです。全部長崎弁です。
 記憶が過去と今を行ったり来たりするさまを、4コママンガでとても上手く表現していて、作者が母親を大切に思っていることが、素直に読者に届きます。
 もう亡くなっているが父親は酒癖が悪い人で、ずっと苦労させられたのに、ボケた母親は夢うつつに夫に会い、ベッドの横に入れて、手をさすってもらって「ああ 気持ちん良か」と眠るのです。
 「さっき、父ちゃんが訪ねて来なったばい。なあ ユウイチ、私(うち)がボケたけん 父ちゃんが現れたとなら ボケるとも 悪か事ばかりじゃ なかかもしれん」と言うのです。  こんな風に、穏やかに可愛くボケる人ばかりではなくて、実際に徘徊や失禁、被害妄想などで、介護する者たちを疲労困憊させる場合の方が多いと聞きます。
 この岡野さんの母親みつえさんのようなボケなら、ボケるのも悪くないかも…と思わせるマンガです。ちょっと気持ちが優しくなります。題名の「ペコロス」というのは作者のペンネームで「小たまねぎ」という意味だそうです。作者の体型とツルツル頭で付けた名前だそうです。
 
渡辺ひろ子(元・酪農家)
『私信 づれづれ草』NO.45(2012.8.31発行)より転載

拷問か?

 前号に「耳鳴り」のことを書きました。頭の奥でキーンと常に鳴っている音。かかりつけ医に「耳鼻科の検査で異常は見つからなかった」と報告したら、「一度、脳外科に行ってMRIを撮ってみたらどうですか」と紹介状を渡されました。連休明けだったけど、なかなか病院に行く気持ちになれなくて(手術が必要だ、なんてものが見つかったらいやだとおもって)、娘に急かされて、やっと一昨日行きました。初めてのMRIです。
 「大きな音がするので覚悟してください」と耳栓を渡されました。
 いやぁー、びっくりしましたねえ。大きな音と言うけど、道路工事でドリルでコンクリを壊すような音が続いたかと思うと、ロックバンドのドラム演奏のような音が繰りかえし鳴り響いたり、それが全部耳の側というか頭全体というか、もう、機械が壊れてんじゃないの?っていうくらいすごい音で、ほとんど拷問でした。20分の長かったこと。
 結果は、全く問題なし、でした。2月の始めに一度倒れて後頭部を強打したのが少し気にかかっていて、それで検査を受ける気になったのですが、脳内のどこにも出血も脳梗塞の痕跡も血栓も動脈瘤も何もない、ということでした。ほっとしたけれど、要するに耳鳴りの原因は不明のままで、やっぱり「加齢」のせいとあきらめてキーンの中で暮らすしかないようです。
 同年代の友人たちの中にも、「セミの鳴き声」の人や「電話の呼び出し音」の人やいろいろいて、「年のせいなンかねぇ」とみんなあきらめ顔です。仕方ないです。
 それにしても、あのMRIという拷問機械は二度と近づかないゾ。絶対に!

渡辺ひろ子(元・酪農家)
『私信 づれづれ草』NO.43(2012.5.31発行)より転載

鳥日記 (2012.5)

dure2_43tubame.jpg 先日、テレビで俳優の柳生博さんが井の頭公園で野鳥を探すという番組を見ました。最後に、自分のジャケットの襟のバッジを示して、ツバメの話をしました。
 「最近、ツバメが減っている。環境の変化でエサとなる昆虫が減ったこと、家屋のスタイルが変わって巣をかける軒が少なくなったこと、巣の材料になる泥が減った(田畑が減った)ことなどが理由だろう。ツバメの繁殖に必要な環境を守るための寄付を募っている。千円寄付してくれると、このバッジを届ける。」というような話で、そのバッジはコバルトブルーのツバメの形をしていました。
 柳生さんはずいぶん前から日本野鳥の会の会長だそうです。
 早速、鳥師匠三丸さんを通して申し込みました。バッジ欲しさにです。動機は不純だけど、まあいいでしょう。こういう寄付を「バードメイト」というそうです。
 田舎ではまだツバメはいっぱいビュンビュン飛び回っているけど、確かに都会では巣をかける場所がなくなってきてるんでしょうね。
 我が家の玄関先の電線にも、ツバメがよく止まっていたりするので、納屋に巣をかけるための板を打ち付けてみました。でも、いっこうに巣作りする気配はなく、いつも乗用車のフロントガラスにフンをベチャッと落としてくれるばかりです。
 コラコラ、私はバードメイトだよ。あんたたちのために千円寄付したんだよ。お返しがウンコじゃああんまりってもんだよ。恩知らずめ。
dure2_43sika.jpg 最近、鳥の写真はあまりいいものが撮れません。私の行動範囲が狭くなっているせいかも。その代わりに、シカによく出会います。ここ数年、シカがとても増えて、人家近くに頻繁に現れるようになっています。
 小鹿は警戒心がなく、カメラ目線で寄ってきたりします。かわいいけど、農家にとっては害獣なんですよね。田植えが終わって苗が根付いた頃に、田んぼに入って苗を食べるそうです。
 シカやイノシシが増えたのは、鉄砲撃ちが減ったせいなのかも。

渡辺ひろ子(元・酪農家)
『私信 づれづれ草』NO.43(2012.5.31発行)より転載

農と人とくらし研究センター

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