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農・人・くらし

NPO法人 農と人とくらし研究センター コラム

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平成の現代も田んぼの水争い

1a440241.jpg 朝早くからポンプの音がします。夜から続いている音、川から田んぼに水を上げるポンプの音です。田植えが終わって、田んぼに水をつけたいのに、雨が少なくて、水が来なくて、田んぼに水をつけられないからです。
 うちの周りの田んぼは基盤整備がしてなくて、田んぼの水を川から引く用水やため池の水に頼っています。それで、代掻きが始まる頃になると、水路から水を引く家に「○日○時に溝さらえをします」というお触れが来て、みんなで溝さらえや水路の周りの草刈をします。そして、上の田んぼから順々に水を引いて行きます。雨の多い年は十分水があるので、下の田んぼでも、少し待てばすぐに水が来ると安心して待っているのですが、今年のように水が少ない年は、代掻きも田植えも、まず水引です。
 代掻きや田植えの頃はまだ時々雨が降っていたので、水がつくまで、少々待って始めればよかったのですが(それでも我が家は1枚の田んぼに、予定していた日曜日に水がつかず、仕方なく1週間後の土曜日に代掻き、その翌日に田植えという始末)、田植え後1週間、ぜんぜん雨が降らず、川の水も少なくなって、水路の水の取り合いになりました。
 日曜日に除草剤をまく積りで、土曜日の夜に田んぼに水を引いておき、日曜の朝見たら全然入っていない。水路をたどるとうちへ来る水みちが完全に閉ざされ、よその田んぼに引いてあったとか。「自分のとこへ引くにしても、半分は残しておくもんや」と義母がかんかんになって帰ってきました。
 この日は暑い日中も母がこまめに水路を見て回り、ようやく夕方水がついて、除草剤をまきましたが、どうしても1枚の田には水が足らず、日延べとなりました。
 水路の水を待ちきれない人は、直接目の前の川からポンプで水を汲み上げ、田んぼに入れています。今朝は2台のポンプがエンジン音を響かせていました。その横を水着を持った小学生の一団が通り過ぎていきました。先週プール掃除をして、今日からプールが始まると、校長先生が話しておられました。「岩屋ダム(美濃加茂市の水源ダム、木曽川の支流飛騨川上流にある)の水が少なくて、もうすぐ節水宣言が出るらしく、そうなると真っ先にプールは取りやめになるんですが…」とも話されていたことを思い出しました。
 先週までは「天気が続かんかなあ、たまねぎの軸がよう乾くように」と言っていた義母は今、「いつ雨が降るんやろ、降ってくれんと米ができん」と嘆いています。この分ではプールも取りやめになりそうですし、これから先も水争いが続き、川からは少ない水をくみ上げるポンプの音がますます高くなりそうです。もうすでに少雨の影響が出ています。

『ひぐらし記』No.14 2007.6.1 福田美津枝・発行 より転載
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