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農・人・くらし

NPO法人 農と人とくらし研究センター コラム

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くさぎを知る会 ありがたい好評・思わぬ反響

 8月20日に、かねてから計画していた「くさぎを知る会」を開きました。今年の5月末、Aさんに習ってくさぎ採りをし、茹でて干す作業をしてから、くさぎのことをいろいろ調べたり、人に聞いたりしてきました。そのことをまた、何人かに話すうちに、興味を持ってくださる方も増え、そんなことなら一度に伝えたほうがいいと思ってAさんに相談し、Mさんにも呼びかけてくださって、3人で開くことになりました。
 そのことをミニコミ誌編集長のUさんに伝えたところ、早速ミニコミ誌やご本人のブログに載せてくださるという呼びかけ効果絶大で、当日40人近くの方が来てくださいました。その中には美濃加茂市の伝承料理の会の方10人ほどと、以前にくさぎのことをお話ししたら、関心を持ってくださった地元小学校の校長先生方も来てくださいました。
 Aさんから、ご主人の好物であったためにくさぎを作り続けてきたこと、正眼寺開祖様からの教え、正眼寺が修行としてのくさぎづくり、寺のくさぎ料理「常山・じょうざん」のもてなし、くさぎを作ることの意味などが話され、Tさんからはお父さんから伝えられたくさぎご飯のことや、それを通しての正眼寺老師様との思い出などが話されました。私は日本食生活全集(農文協発行)に書かれてあった全国のくさぎ食用の様子や、くさぎという植物の説明、染色材としての使い方などをお話しました。
 そのあとで、Mさんが炊いた常山(くさぎと大豆の煮物)やくさぎご飯の試食をしていただきました。地元伊深の方も大勢来てくださいましたが、くさぎご飯は初めてのよう。伊深以外の方は勿論くさぎを食べたことが初めてでした。
 試食の後、自由な話し合いの場にしました。校長先生は理科の先生なので、くさぎの植物としてのお話をしていただきました。夏に花の咲くくさぎには、アゲハの仲間が寄ってくるそうです。その時に資料として配った掘文子(画家)さんのくさぎに寄せる文は、校長先生から教えていただいたものでした。伝承料理の会からは、地元に伝わるものを取り上げて話し合う場を持ったことを評価していただきましたし、ラジオで聞いたというくさぎ雑炊のご紹介や、くさぎを干して保存するのでなく、冷凍したらどうかなどという提案もありました。小学校の先生は学校でも総合学習などで子供たちと一緒にくさぎづくりをしたいと言っていただきました。嬉しいことでした。
 こうして2時間はあっという間に過ぎ、最後にAさんが「正眼寺の開祖様に教えていただき、650年ずっと伝えてきた伊深のくさぎが途絶えようとしています。大切な伊深のくさぎを今の時代に合う方法で守り、伝えたいと思います」と締めくくり、くさぎを知る会の考えを皆さんにお伝えしていただきました。
 U編集長の配慮で、岐阜新聞から取材に来てくださったので、翌々日の朝刊の岐阜版(地域の中濃版ではなく)に大きく載せていただけました。その新聞記事をもとに、ちょうど1ヵ月後の9月20日、岐阜ラジオの生放送にも10分間出ました。若い女性レポーターが取材に来られ、Aさんと私にインタビューされました。でも、これはお昼過ぎの番組なので、聞いてくださった方は少ないのではないかと思います。
kusagi2.jpg このような、メディアの反響だけでなく、もっと嬉しい反響も次々いただきました。会を開いた頃はくさぎには、赤い萼に白い花、ユリのような香りの花が咲き、やがて赤い萼に青い実がなる頃なので、「くさぎがどこにあるかわかるようになりました、来年はそこへ採りに行こうと思います」などとおっしゃってくださる方も何人かあります。私も方々へ出かけるたびについ、そこにくさぎがあるか探しています。
 「紀州ではくさぎ料理が仏事に欠かせないと言うところがあります」「くさぎの実を染料にするときには萼と実を別々にすることもあります」と教えてくださる方もあり、「くさぎの会は次はいつですか」などとも聞かれます。また、Aさんはご主人のアドバイスにより、くさぎの新しい干し方を試しておられます。
 まず、伊深にくさぎ料理があること、それを皆さんに伝えようと思って開いた会ですが、皆さんのこうした声にお応えしながら、くさぎの会を進めていき、現代の暮らしにあった方法でくさぎを伝えていこうと思います。

『ひぐらし記』No.17 2007.9.30 福田美津枝・発行 より転載
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