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農・人・くらし

NPO法人 農と人とくらし研究センター コラム

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徴農制

 ちょっと前、テレビの「太田総理」(お笑いコンビ「爆笑問題」が司会をして、タレントや政治家などがその日のテーマ・・太田光本人の提案が多いが、たまに他の出演者が提案する場合もある・・について論議し、最後に賛否の投票をする。視聴者も電話投票で意志表示できる、という番組)で、俳優の辰巳琢郎が「徴農制」を提案しました。
 「若者に一定期間(一年くらい)強制的に農業体験をさせることによって、農業の大変さ、大切さ、汗を流して働くことの喜びなどを実感させる。そうすれば、食べ物のありがたさ、農業の大切さがわかるだろう。そして、彼らの中から、農業を生涯の仕事にしたいと思う若者も出てきて、農業後継者不足問題も解決できるだろう。」
 というのが、辰巳さんの提案理由でした。賛否は半々で、論議が始まりました。政治家も賛否に分かれ、自民党若手議員は「農業の将来は農業者自ら考えることで、ビジネス努力で新しい道を開拓し成功している個人や企業もある。例えば、中国の富裕層に向けて、良質なものを生産し、高価な値段で売って利益を上げている、というように。だから、日本の農業の将来は暗いばかりじゃない」
 農業者も二人出ていて賛否に分かれました。小学生などの農業体験の教育的効果をあげ、まず子どもたちに農業や自然を知る機会を作ってやることが日本の農業を救うことにもつながる、という賛成派。そして、反対派の高齢の農家の人は「農業の後継者がいないのは、農業で食えないからだ。農業体験して、将来農業をやりたいという若者がたくさん出てきても、食えないじゃぁ仕方ない。農業が食える仕事になることがまず始まりだろう」と主張していました。
 最終的に、確か一票差で「可決」となって番組は終わりました。
tara.jpg う~ん、私は、う~ん、ちょっと反対に近いかなぁ。子どもたちに農業体験をさせることは大切だと思うし、それは、今各地で試みられているような、「田植えと稲刈り」とか「芋ほり」とかだけじゃなく、土つくりから収穫後の後始末・来年への準備に至る全過程を体験するものであってほしいと思います。
 しかし、それを農家に来てやられると、仕事の邪魔でしかないし、第一、今どきの子どもの扱いとか、モンスターペアレントの扱いとか、そんなの農家で背負いきれる範疇を越えているわけで、一年で農家の大半が精神科に通院することになるかも・・。
 本来、教育は教育機関がやるべきことで、でも、今の学校にこれ以上を望むのも酷だと思います。今でも教師の多くが精神科に通院もしくは入院している現実があるわけで・・。
 学校のカリキュラムを大幅に変更して、数学とか英語とか科学とかの時間を減らして、農業を正式な科目として入れればいいと思います。
 この国はもう「右肩上がり」の成長は戻って来ない「老成期」に入ったのだから、難解な数学や物理式を解ける能力より、何か起きても生きていける智恵や能力、そして他人とやさしい関係を作りそれを持続するこころを育てることに、教育の力点を移すべきだと思います。
 子どもの学力が世界ランキングで韓国に負けた!なんて騒いで、「学校」のケツをひっぱたいてみてもしょうがないよ。
 今までとは違う国になる、そしてそれは「進化」なのだと思うこと。
 太田総理! 農業再生も、教育再生もここから始めよう、というのが渡辺ひろ子のマニフェストです、いかがでしょう。
 な~んて、ここでほざいてもオヨビデナイ。

渡辺ひろ子(元・酪農家)
『私信 づれづれ草』NO.24(2010.3.28発行)より転載
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