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農・人・くらし

NPO法人 農と人とくらし研究センター コラム

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「気違い農政周游紀行③」 コメの味で嫁を釣れ

gohan.jpg 正月以来、ある農家の方からいただいたコメを食べている。籾で送ってもらい大晦日に農協のコイン精米機で8分米に摺って元旦から食べ始めた。
 私が居候のようにくらす生家の家業は糀屋であり、蔵には近所の農家から少しずつ持ち込まれた糀の原料となるコメが貯蔵されていて、普段はその中からもっとも食べられそうなものを選んで食べている。美味しくない古米がどんな味かを、私はとてもよく知っている。
 正月からもう2ヵ月近くたったが、「こんな美味しいコメを毎日食べるなんて、もったいない」と母は食事のたびごとに口にする。そういえば、そのコメを送ってくれた方は、出されたご飯のコメと野菜の味に感激して農家に嫁ぐ決心をした、と冗談のように語ってくれたことがある。それは今まで一度も食べたことがない美味しさだったという。実際はもちろんパートナーの人柄にも惹かれたのだろう。
 二人の女性たちの言葉を聞いて、儲かる農業も魅力的かもしれないが、農家に嫁げばこんなにも美味しいものが食べられる、という点をアピールする道もあるのではないかと思った。高級といわれるフランス料理の世界でも従来のソースに代って素材自体のもつ味で勝負する時代になっているというではないか。最も新鮮な素材を食卓にのせることのできる農家の食生活は本来豊かなものであるという自覚が大切ではないだろうか。美味しい食べ物のことに関して、女性は男性よりもずっと敏感で、高い価値を置いていることを、農家も農政ももう一度思い起していい。

片倉和人
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農と人とくらし研究センター

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